「武士の家計簿」で有名になった歴史学者、磯田道史氏による歴史ノンフィクション小説。
本書の仙台藩の話は、「殿、利息でござる!」という映画の原作である模様。

著者が読み込んだ実在の歴史資料という裏付けが、浮世だった存在にみえる主人公たちの描写に凄味を与えている。

・仙台藩の吉岡宿にて、逆転の発想で集落を救おうとした穀田屋十三郎など9人の庄屋
・江戸時代きっての詩人、中根東里
・江戸無血開城のきっかけを作ったとも言われる尼僧、大田垣蓮月

自他の区別を克服し、他者を救済し続けた生き仏のようであった上記3名についての人物伝を通して、日本人が培ってきた精神について顕している。
これによって、グローバル化の波に翻弄される現代日本人に警鐘を鳴らし、目指すべき心の有り様を示唆している。

心が洗われたようなさわやかな読後感の作品。

器が小さい自分にとって、陽明学でいう自他の一体化は壮大すぎる目標であるが、少しづつでも実践していければ、と思った。

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