居酒屋の世界史

2017年1月29日 読書
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062881203

ドイツ史の先生による作品。

・古代は、宴会は貴族が自宅で行うもので、主催者の無料招待が基本だったそうだ。
 飲食物の対価として金銭を要求することは下賤であるとされたそうだ。

・中世ヨーロッパでは、教会が居酒屋機能を含むコミュニティセンターとしての多機能性を持っていたが、
宗教改革によって聖俗が分離され、代わりに居酒屋的な飲食店がコミュニティセンターとなっていたとのこと。
この成立の前提条件として貨幣経済の浸透が必須であり、
都市部や街道沿いでいち早く発展を遂げたが、西ヨーロッパでは農村でも貨幣経済の浸透が早かったために成立が早かったそうだ。

この貨幣経済の浸透というのは封建制の崩壊のきっかけとなるものであって、絶対的権力基盤のもとでは危険視され、権力基盤が強固な当方世界では成立が遅れた、とのこと。

現代だと、国家権力を脅かすものは情報だろう。
そのロジックだと、欲しい情報にいつでもアクセスできること、を志向するGoogleは危険企業ということになる。

・イスラムではカフェ、中国では茶館が、多少のコミュニティセンター的役割を担ったが、寺院の果たす役割が強く、他機能性はあまりなかったそうだ。

現代の日本では寺院の役割は薄れ、自治体の公民館がある程度その役割を引き継いでいるのだろうけど、欧州起源であろう多機能性を持つ飲食店もコミュニティセンター的役割を志向し、ある程度成功しているものもあると思われる。

自分はそういった、行きつけの店みたいな地域コミュニティに参加してないけど、創立後しばらくはフットサルチームが自分にとっての多機能性のあるコミュニティだった。

そういうものが人間に必要だというのは自分の体験を通してよくわかる。

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