オーデュボンの祈り (新潮文庫)
2013年5月23日 読書
奇妙な登場人物が構成する世界に放り込まれるおとぎ話風の展開は、彼の淡々とした語り口に合っている。
しかし奇妙な人物たちの描写よりも興味をひかれて読み進める原動力となったのは、悪意のかたまりのような人物、城山がどのように罰せられるのか、という一点。
淡々、ほのぼのとした文体の中に突如あらわれる、乾いたどす黒い悪意は異色で際立っているのだ。
終盤のお得意の伏線つなぎ、やはり彼の文章だとスピード感がなくて迫力不足だったが、城山の存在感によって遅読な俺にしてはかなりのスピードで読み進むことができたし、
伊坂氏の長編が映画化される理由もわかって満足。
数々の伏線や城山という絶対的な悪役の存在からこれも映画化に向いてそうだけど、本作は未だ映像化されてない。
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