夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)
2008年2月13日 読書
ISBN:4167663201 文庫 司馬 遼太郎 文藝春秋 2005/09/02 ¥540
公共機関での長時間移動のときの暇つぶしに司馬遼太郎の歴史小説を読むことが多いのだけど、年明けの海外出張で買ったのがこれ。
(本当は「花神」か「峠」が読みたかったけど空港の書店に全巻そろってなかった)
四国統一を目指した土佐の長曽我部元親を描いたもので、巻末の解説によると司馬氏は、情念(四国統一)に取り付かれた人間を描いてみたかったらしい。
若い頃は姫若子と呼ばれるなど頼りなかったが、当時無名な明智光秀の縁戚から嫁を取ったり、一領具足という屯田兵制度を創始したり、と奇才を発揮する元親は魅力ある人物に描こうと思えばそうできたように思うのだが、この作品の元親は感情移入のしづらい人物としてわざと描かれているように思う。
読後に解説を読んで、人物よりも、その人物が取り付かれた情念について描きたかったせいなのかな、と思った。
事実、晩年の元親は史実でもあまり魅力的でないどころか、失敗ばかり重ねており、四国統一までの奇才は何かに取りつかれた故ではないかという解釈によるものかと。
実際、士気、やる気というものは何事においてもその人物の資質同様かそれ以上の重要なファクターであるわけだし。
というわけで、主人公にシンクロできず、読中、読後感はあまりよくなくて盛り上がりに欠ける内容なのだが、キューブリックの「バリー・リンドン」みたいに盛衰を描く長編映画の題材としては面白いかもなあ、とか思った。
公共機関での長時間移動のときの暇つぶしに司馬遼太郎の歴史小説を読むことが多いのだけど、年明けの海外出張で買ったのがこれ。
(本当は「花神」か「峠」が読みたかったけど空港の書店に全巻そろってなかった)
四国統一を目指した土佐の長曽我部元親を描いたもので、巻末の解説によると司馬氏は、情念(四国統一)に取り付かれた人間を描いてみたかったらしい。
若い頃は姫若子と呼ばれるなど頼りなかったが、当時無名な明智光秀の縁戚から嫁を取ったり、一領具足という屯田兵制度を創始したり、と奇才を発揮する元親は魅力ある人物に描こうと思えばそうできたように思うのだが、この作品の元親は感情移入のしづらい人物としてわざと描かれているように思う。
読後に解説を読んで、人物よりも、その人物が取り付かれた情念について描きたかったせいなのかな、と思った。
事実、晩年の元親は史実でもあまり魅力的でないどころか、失敗ばかり重ねており、四国統一までの奇才は何かに取りつかれた故ではないかという解釈によるものかと。
実際、士気、やる気というものは何事においてもその人物の資質同様かそれ以上の重要なファクターであるわけだし。
というわけで、主人公にシンクロできず、読中、読後感はあまりよくなくて盛り上がりに欠ける内容なのだが、キューブリックの「バリー・リンドン」みたいに盛衰を描く長編映画の題材としては面白いかもなあ、とか思った。
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